陽の章 五禽戯


15 相生(そうせい)     

 
 
 五行理論の根本は「相生」と「相克」の関係です。「相生」とは、一つの要素が次の要素を良くしていくという、「循環理論」です。
 
1水は木を育て
 
2木は火を育て
 
3火は土を育て
 
4土は金を育て
 
5金は水を育てる。

 
 これを相生の関係と言います。

 つまり、水を吸って木が育つ。「水(すい)」とは腎です。腎のはたらきが「木(もく)」つまり肝のはたらきを助ける。
 
 木を燃やすと火が起こりますが、肝のはたらきが「火(か)」のはたらきを助ける。
 
 火が燃えた跡には灰が残り、灰は土を肥やすので、「火」は「土(ど)」を育てる。
 
 土の中から金属が掘り出されますから、「土」は「金」を育てる、とみました。
 
 金属の器に水を入れることができる、または、寒い日には金属に水滴が付きますが、「金」は「水」を育てると考えます。
 
 これを臓腑の関係でみると、「水」とは「腎・膀胱」を意味します。「木」は「肝臓・胆のう」です。ですから、「腎」が元気であれば、肝臓や胆嚢のはたらきが活発になります。それが、水が木を育てるという意味です。
 
 「火」とは心臓・小腸のことです。ですから「肝」が元気であれば、心臓・小腸が元気になるということです。
 
 同様に「心」、つまり血液循環が良くなれば、「土」、つまり消化の働きを助け、「土」が活発に働くことで、「金」つまり、呼吸のはたらきが順調になる。呼吸のはたらきが順調であれば、「水」、つまり排泄のはたらきが順調になるのです。


 
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